朝4時起床。前日のアルコールがまだ残っていて、頭痛がする。水分を摂りながらレースの準備をする。
4時45分、下に降りてマスターの車にバイクを積み込んで、自販機でペットボトルのコークを買って(本当は水が欲しかった)出た。
南長崎のプロショップ前で同行する車と合流。車4台で出発。約40分後に守谷SAで2台と合流。トイレや買い物を済ませて6時過ぎに出発した。
行き先は、茨城県常陸太田市。「うっかり八兵衛カップ 秋の収穫祭」というMTBのイベントに参加したのだ。
高速道路を「那珂(なか)」でおりて、すぐのコンビニで買い物。ドリンク剤でドーピング。ゼリー飲料や、スポーツドリンク、大量の水、サンドイッチ、おにぎり、ポテトチップス、そして、レース後に飲むビールなどを購入。レース会場に向かった。
駐車場でバイクを組み立てて、受付を済ます。ゼッケンやプログラム、参加賞の米などを受け取ってレース会場でピットを設営した。仲間内で5チーム参加するが、2人で走るのは僕とマスターのチームのみ。ほかは3人から5人でチームを組んでいるので大所帯だ。
バイクにゼッケンを付けて、マスターと試走に出た。ボイクたちがベースを置いたのはピットエリアの端の方で、走り出すといきなり上り坂になる。ゆっくりと登り、途中からシングルトラックに入る。シングルトラックというのは、バイク一台が通れるくらいの道のことだ。二台くらいが走れる幅の道は、ダブルトラックと呼ぶ。
シングルトラックは、小刻みな登り下りを繰り返して少し荒れ気味だった。いたるところに木の根が露出している。今回は天気がよいから良かったが、雨が降ると車輪が滑ってしまうのでやっかいだ。
少し登ると、ジープロードに入る。ここは車が一台通れる幅。少し轍が出来ているが難しくはない。緩い登り下りのあとに、急斜面の下りがあった。土嚢を敷き詰めてあって、下りながら直角に折れて下っている。コーナー3つめまでは乗ったままクリアーできたが、そのあとのコーナーが難所だった。直角に左に曲がり、すぐに急角度で右に曲がっていた。クランク状で、しかも角度が急なのだ。ここは無理をせずにバイクを降りてやりすごす。
急斜面を抜けると、再びシングルトラック。細かく上下・左右に変化している。こまめにギアチェンジをして、効率がいい回転をキープしないと、上手く走ることが出来なくなってしまう。MTBに27段ものギアが装備されているのは、そういう理由からだ。
ギアは軽すぎても重すぎても効率が悪くなる。車やオートバイでギアを変えることと、基本的には同じだ。ただ、人間はパワーがないので、より細かい設定が出来るようになっているし、走る路面の変化が大きいので、よりワイドなギアレシオが必要になるのだ。
ロードレーサーが18から20段、ママチャリが1から3段に設定されているのも想定されている(また、実際に走る)路面の違いから来るのだ。
話が脱線してしまったが、シングルを抜けるとジープロードのだらだらとした長い上り坂が待っている。そこを我慢しながら登りきると、急な登りが現れる。短いが二段階になっていて、最初を登りきると少し緩くなって、そのあとさらに傾斜がきつい登りがある。軽いギアにして(四駆のスーパーローくらい)くるくると回しながらゆっくり登る。バランスを崩すと再び乗って走りだすのが難しいくらいだ。
そこを抜けてシングルを走り、今度は、過ぎ前に登ったばかりの上り坂のすぐ横を下りていく。急坂で、途中で右に曲がっている。しばらくシングルトラックのクネクネと曲がった下りが続き、登り返しを抜けたあとに下りを楽しんだら、田んぼの横のジープロードに下りることが出来る。少し走ると計測地点になり、少し高いメイン会場に登る短い急坂になる。ここまで一周4kmくらいか。
緊張してハンドルバーを握りしめていたので、腕が上がりそうに(握力の低下で力がはいらなく)なっていた。面白いが、なかなかの難コースだ。ここを2人で4時間走るのかと思うと気が遠くなってしまう。
スタートまで1時間半くらいの余裕があるので、ピットに戻ってのんびりする。マスターとジャンケンをして走る順序を決めた。勝ってしまったので僕が第一走者だ。
このレースのために勝手に作ってきた布ゼッケンを、バイクジャージの腰の辺りに安全ピンで付ける。ゼッケン番号の右下に走行順の「1」「2」を入れて、“そるとぴーなつ”や、バイクブランドのロゴ(正式に許可をいただいた)、2人が乗るバイクを輸入している会社のロゴなどをいれたスペシャルなものだ。
レース中には腹が膨れるまでは食べられないので、少しずつ食べることになる。まずはおにぎりを1つ食べた。そのあとにドリンク剤。レース中のドリンクを作る。それをチビチビやりながらスタートを待つ。
10時過ぎにスタート地点へ。スタート位置がはっきりしなかったので、直前にかなり移動した。スタート前に近くにいるヤツに見覚えがあるなと思うと、向こうも気づいたらしく、声を掛け合った。もう3、4年振りだろうか。
彼はスズキくんといって、以前は池袋の自転車チェーン店に勤めていた。一度、“そるとぴーなつ”でも飲んだことがある。その後、埼玉の系列店に移動してからは会う機会がなかった。現在はそこを辞めて茨城県内のショップに勤めているという。自分でショップをやりたいと言っていた。
そういえば、トイレを待つ間にも、メッセンジャーのカミヤくんに会ったりした。こんな場所で?という偶然が多くて楽しくなる。
いよいよスタート。長丁場なので自分のペースを守って走る。一周目という事で、渋滞しないように最初のシングルトラックは飛ばして、駐車場まで登っていく。
駐車場の近くは墓地になっているので、墓参りの人たちがびっくりした表情で見送っていた。
まあまあの調子で一周をこなしてマスターと交代した。ライダーチェンジでは、ルーズソックスのような暑苦しい、リストバンドのようなものを右手首につけて交代する。一周を20分弱で回るので待っている間に補給したり、サドルを下げてみたり、ハンドル位置を変えてみたりなど、バイクの調整をしていた。
今回は、“そるとぴーなつ”常連のアサちゃんが写真を撮るために来てくれた。無精髭でサングラス。頭にはタオルを巻いているのでナニジンかわからない怪しさだ。暑いので歩き回るのも疲れそうだった。
マスターと交代して、2周目にはいる。体が動きだしてなかなかの調子になってきた。でも、2周続けて走る気にはならない。ようやくウォーミングアップが出来た感じだ。
3周目。一番調子良く走れた。さらにバイクをいじってみたが、あまり変わったような感じはなかった。体感するほどはガンバっていないからなのか。
4周目位から疲れを覚えだした。回復力が落ちて、筋肉がパンパンになってきた。登りはまだまだイケるがそろそろ押しに入ることになりそうだ。レースは半分くらいの時間が過ぎた。天気が良いのでドリンクの減りも速くなってきた。
6周を走ってマスターと交代。この時間だともう一周走ることになる。この2、3周は「ゆっくりでいいよ」とお互いに声をかけて、無理をしないような走りをしていた。さすがにペースは落ちてきている。
最後の交代で走り出す。勢いが落ちてしまった。シングルトラックに入ってすぐに、両フトモモの後ろ側がピクピクしだした。後ろから何人か来ていたが、止まると完全にツリそうだったので立ち漕ぎで足の後ろ側を伸ばしたりしながら広い場所まで走り、コースを外して止まった。ゆっくりストレッチをして軽いギアで走り出す。
最終周回なのでゆっくりと走った。下りの難所は最後まで克服できなかった。次回、参加することがあれば克服したい。
二段階の急坂は、最後の2周は押してしまった。乗って登っても歩くのと変わらない程度だった。
あとは下りだけなので、やっと終わるぞという喜びが湧き起こってきた。残りを楽しんで下る。計測地点のあたりになると、ライダー達が足を着いて並んでいた。
最後の登りのところに人がいっぱい集まっていて、一人ずつ登ってチェッカーフラッグをうけていたのだ。ちゃんと登れる人、途中でバランスを崩す人、ギャラリーのなかに倒れ込む人もいたりで盛り上がっていた。
僕は無事に登りきり、ゴール!地元で採れたピーマンの袋をいただいた。ここのレースでは、やたらと野菜を配っているのだ。15時半過ぎになっていた。
ピットに戻り、ビール!今回は補給食をふんだんに摂っていたのでいつもより苦みを感じてしまった(補給のドリンクや食べ物は甘いものが多い)が心地よかった。
少し休んで撤収に入る。バイクと荷物を抱えて駐車場へ。積み込みを終えて簡単に着替えてようやくリラックスできた。
帰りは大した渋滞もなく、一度も休まずに18時ごろには地元に帰ってきた。2人で焼肉屋に入り、ビールで乾杯。タン塩にカルビ、カクテキと追いキムチという定番を食して解散した。
久しぶりにクタクタになるまで走った。すでに筋肉痛が出始めている。頭の中には風呂に浸かることしかなかった。
久しぶりの刺激だった
Everything But The Girl / The Spice Of Life